2012-01-01から1年間の記事一覧

卒論「『無名抄』の執筆意図」終章(4/4)

終章『無名抄』の執筆意図 『無名抄』における数寄像に、『発心集』で展開された数寄往生の論理が働いていることは、先に述べたように、執筆時期から見て間違いないだろう。『無名抄』における数寄は、同世代の人々が定義した「孤猿風の暗さに隈取られている…

卒論「『無名抄』の執筆意図」第三章(3/4)

第三章『発心集』と数寄往生 第一節『発心集』について 『無名抄』の成立は、十八話「関清水事」にある「建暦の初めの年十月廿日の頃三井寺へ行く」という記述を信用すれば、建暦元年(一二一一)以降ということになる。『発心集』の成立は通常『方丈記』が…

卒論「『無名抄』の執筆意図 」第二章(2/4)

第二章『無名抄』の特色 第一節『無名抄』の特色 まず、『無名抄』の特色を考えてみる。『無名抄』の特色として、 (あ)過去の出来事を注釈するにとどまること (い)自己顕示が強く、自讃譚が豊富に記されていること (う)数寄に関する話が多くあることが…

卒論「『無名抄』の執筆意図 」序章(1/4)

このたび成績発表があり、無事卒業が決まった。卒業にあたって執筆したのが下記の論文である。 『無名抄』の執筆意図 序章 長明と和歌第一節 問題提起 『無名抄』は、建暦二年(一二五八)ころ、鴨長明によって、日野の山荘において執筆された。具体的な執筆…

銭湯の魅力 広島旅行雑感

02月13日から2泊3日で、卒業旅行に一度行きたかった広島へ行った。大学では中世文学、とくに『平家物語』を専攻したので、宮島の厳島神社にはぜひ行ってみたかったのだ。「卒業旅行」とはいうものの、恥ずかしながら卒業できるかどうか非常に危うい。私は大…